生きづらい社会で生きる

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真に生きたいから死にたいと思う、人間の逆説的心理

〈パパゲーノ〉の「死にたい」は「生きたい」の代名詞ではないか?
・・・と思う。
現代社会で、あてがわれた生き方を、ただただ受動的に、運ばれてくる餌を食する養鶏所の鶏のように啄むことが「生きる」ことだと『刷り込まされて』いれば、ふとしたきっかけで「こんな人生、生活は人生じゃない。もっと本当に生きたい。でもどうしたら生きれるのかわからない」という絶望感……いや、途方に暮れる感覚が「死にたい願望」として現れているのだと思う。


NHKの特集ドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」を数日前に観た。

ももさんを演じる主演の伊藤沙莉さんは、朝ドラ「虎に翼」で日本初の女性裁判官の三淵嘉子(1914‐84)役を演じて好評を博しているが、このドラマでも沙莉さんならではのユーモア感覚でパパゲーノを演じている。

ドラマの最後、ひとりで旅する「ももさん」の後ろ姿を遠くに映しながら、

【パパゲーノ】
 死にたい気持ちを抱えながらも“死ぬ”以外の選択をしている人のこと」

というテロップが出てくる。

物語の概要

【特集ドラマ】ももさんと7人のパパゲーノ
 初回放送日:2022年8月20日

主人公・ももさん(伊藤沙莉)は、「死にたい」という気持ちを誰にも言えず毎日を過ごす。ある夏、月曜日の朝が来る事が耐えきれず、会社を休み旅に出たももさん。旅の道中、死にたい気持ちを抱えながらも“死ぬ”以外の選択をしている人=「パパゲーノ」たちと出会い―。▽染谷将太、山崎紘菜、浅野和之…個性豊かな7人のパパゲーノたちとの出会いを通して、ももさんが見つけたものとは。「死ぬ」以外の道を探す、1週間の物語。

あらすじ

一見、何の変哲も無い様な平凡な日々を送る25歳のOLのもも。少し離れた所に住む両親とは時々ご飯を食べるし、普通にデートを重ねたり宅飲みをする彼氏や、普通に友人だっている。会社の業務も、先方からの理不尽なクレームにも対応したり、上司や同僚との飲み会にも如何に上手に交わすかのスルー力が試されたり、そんな日々の生活の中にも少しずつだが、ストレスやモヤモヤ等を抱えていた。ある夏。月曜日の朝が来ることが耐えきれず、会社を休んだももは、SNSで繋がった所謂『パパゲーノ(死にたい”気持ちを抱えながらも日々を生きる人)』たちと会う事を決心をし、彼らに会うための旅をする。

感想

自分ごとでいえば、つい2、3年前まで死にたいとは思わないまでも「生きていたくない」と思うことがしばしあった。

自分が「この社会」に合わないなぁ・・・という感覚がずっとあって、世の中への馴染めなさとか居場所のなさとか10代の時から慢性的に抱えていた。

「生きていたくない」=「異和感」

「生きていたくない」と思う感覚というのは、言い換えるとこの世界に対する〈違和感〉だと思う。

何か、この世界に「違うんじゃないか?」(「虎に翼」の寅子式に言えば「はて?」という感じにも近い)と感じてしまう。

自分の場合、この〈違和感〉の原因、「なぜ自分はこの世界に違和感を覚えるのか?」を追求してきた感がある。

今現在、自分がその違和感を乗り越えて「落ち着いている」のは、異和感に目を向け、探求し続けてきたおかげかなと思える。

違和感に目を向ける重要性

その意味で・・・「違和感」は自分自身の心の声と言えるので、違和感に目を向け、それを探求するももこの旅は面白いな、と思う。

重要なのは、自分の感受性に照らして、自分自身で思考し続けることではないか?と思う。

「人とつるまない」自立した個として思考する

このドラマが面白いと思ったのは、ももこが「私は一人で旅したいのよ!」とイキってしまうあたりだ。

結果として、ともに旅してた雄太を傷つけてしまうのだが・・・あるあるだな、と思う。ももこは一人で「自分自身をみつめたかった」のかなと思う。
また、言った後で後悔してしまうのも、あるあるだな、と。

制作の背景

オーストリアのメディア研究では、こうした経験を持つ人のストーリーを伝えることが、自殺を思い留まる抑止力になることが示されていることから、NHKが運営するサイト「自殺と向き合う」に、日々寄せられる「死にたい」「生きるのがつらい」という投稿や、当事者への取材を元に、ももが出会う「7人のパパゲーノ」たちの生きざまを描く。「もも」とは投稿の中で、最も多く使われるニックネーム。 ウキペディアより

参照

わたしはパパゲーノ~死にたい、でも、生きてる人の物語~「プロジェクト紹介編」

モーツァルトのオペラ『魔笛』の登場人物・森で鳥を獲るパパゲーノは、信じた人との繋がりを失い死を決意する。しかし、ある出会いで思いとどまることに…。「わたしはパパゲーノ」は、“死にたい”けれども“生きてる”人たちの物語を共有するプロジェクト。そうした物語には、つらい状況にある人を思いとどまらせる抑止力があるという研究も。さまざまな“パパゲーノ”たちの言葉と共に、プロジェクトを2分でご紹介します。

8/28(水) 午後10:50-午後10:52
配信期限 :9/4(水) 午後10:52 まで

 「わたしはパパゲーノ」って?


          公式サイト

モーツァルトのオペラ『魔笛』の登場人物・森で鳥を獲るパパゲーノは、信じた人との繋がりを失い死を決意する。しかし、ある出会いで思いとどまることに…。「わたしはパパゲーノ」は、“死にたい”けれども“生きてる”人たちの物語を共有するプロジェクト。そうした物語には、つらい状況にある人を思いとどまらせる抑止力があるという研究も。さまざまな“パパゲーノ”たちの言葉と共に、プロジェクトを2分でご紹介します。

 

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